急激な需要増加に対する増産対応

概要

A社から受託していたファインケミカル製品は100~200 MT前後の需要から、2年で最大800 MT程度までの増加が見込まれていた。従来の製造設備のみでの増産対応は不可能であり、また他の製造受託品目の供給に影響を与えることはできなかったため、稼働余裕のある別の製造設備の改造を行うことで1年半の準備期間で最大1,500 MTの製造能力に引き上げることができ、お客様の需要急増に応えることができた。

課題

2年間で3~4倍の需要増で、製造能力不足に


A社から受託していたファインケミカル製品は2020年まで年間100~200 MT程度の需要で推移しており、AGCの年間の最大製造能力600 MTで十分賄うことができた。

しかし2019年の時点において、2022年以降は最大800 MT程度の需要になることが見込まれ、供給能力不足となることが判明した。

なおAGCの工場はマルチパーパス製造設備(※)で構成されており、いずれの製造ラインも複数の品目を製造している。そのため実際には最大製造能力の600 MTまで製造することは難しかった。

マルチパーパス製造設備とは異なる品目を製造できるように、多様な製造設備を揃え、また設備同士を柔軟に連結できるようにしたもの。

解決

マルチパーパス製造設備の特徴を生かして、他の製造ラインの製造能力を1.5倍に増強。既存ラインと合わせて生産能力を2.5倍に大幅に増強!


AGCはマルチパーパス製造設備をもつため、(設備により多少の特色はあるが)いずれの製造ラインも若干の改修によって目的の品目を製造することができる。

製造数量の急激な増加、他品目製造枠の確保、及び製造柔軟性の向上を満たすため、当社では別の製造ラインを改修することで製造能力を引き上げた。この製造ラインは従来設備よりも反応器サイズが大きいため、従来比で1.5倍の製造能力を得ることができた。つまり従来設備と合わせて2.5倍の製造能力をもつことが可能となり、年間で最大1,500 MTの製造能力を獲得した。

また2021年初めには改修工事を、2021年Q2には実機製造を実施し、検討開始から製造ラインの改修までを1.5年で完了した。これにより需要超過に1年先立ち、十分な余裕をもって増産可能な体制を確立することができた。

結果

製造能力の拡大と複数ライン製造により、急激な需要増加への対応力と製造柔軟性の向上を達成し、A社の事業拡大に貢献!

これらの製造ラインの増強により、お客様の最大需要に対して十分な製造能力を確保することができた。製造数量が増えることで需要の変動量も大きくなり、また他品目との調整も難しくなりがちであるが、これらも複数ラインで製造可能とすることで対応を容易にすることができた。

本品目の需要は事前の予想よりも増加し、お客様からの需要に基づく製造数量は2021年に650 MT、2022年には800 MT弱に達した。既に2021年には従来の製造能力を超えていたが、当社の迅速な能力増強によって十分に需要を満たすことが可能となり、お客様の事業拡大に大きく貢献することができた。