廃棄異性体からの再生によりコスト削減とサステイナビリティ向上に貢献

概要

欧州C社から受託しているファインケミカル製品ではcis/trans異性体が生じるため、生成物の内の一定量が不要異性体として廃棄されていた。

AGCでは不要異性体から必要異性体を安価に再生する方法を開発して商用製造化したことにより、コスト削減を実現した。更に欧州企業であるC社では温室効果ガス・使用水資源・廃棄物の削減を始めとするサステイナビリティプログラムを強化していたところであり、AGCが実現した廃棄異性体の削減により廃棄物と不要異性体の削減を同時に実現することができた。

課題

24%の廃棄物が生じるも、コストにミートする再生方法が見つからず

欧州C社から受託しているファインケミカル製品では、cis/trans異性体が65/35の比率で生じていた。本製品の規格を満たすため、精製により必要なcis体比率を84%まで高めていたものの、24%分のtrans体が不要物として廃棄されていた。

C社においてもこの廃棄trans体から必要なcis体を再生する検討をしていたが、コストが見合わず断念していた。

解決

反応工程を最適化し、簡便かつ低コストな再生方法を開発

C社からこの廃棄trans体からの再生課題について依頼されていたわけではなかったが、お客様にとってのメリットとサステイナビリティを重視する社会状況を鑑みて、AGCの研究開発部門では自主的にcis体を再生する製法を検討した。

関連する特許の検索結果と、社内ノウハウの活用を通じて、反応条件、特に試薬と溶媒を最適化することによって簡便かつ低コストな再生方法を開発した。

この廃棄cis体の再生により、通常製造品との加重平均で3%の製造コスト低減を実現すると共に、cis異性体の廃棄量も75%削減することができた。

結果

コスト削減に加えて、お客様のサステイナビリティ向上にも貢献!

AGCの検討により、上記のように製造コスト及び廃棄物の削減を実現することができた。加えて欧州に拠点を置くC社ではサステイナビリティの向上が不可欠である。

今回の廃棄物から必要trans体を再生することにより、製造工程及び廃棄物の削減により通常製造品との加重平均で5%の二酸化炭素排出量の削減を実現することができた。

お客様のサステイナビリティ向上にも大きく貢献することができ、C社からも高い評価を頂くことができた。