【用語集】無水トリフルオロ酢酸(TFAA, CAS 407-25-0)とは?性質・用途・アシル化反応・安全性を徹底解説|AGC 受託合成サービス

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無水トリフルオロ酢酸(TFAA, CAS 407-25-0)とは?

無水トリフルオロ酢酸(Trifluoroacetic anhydride, TFAA)は、分子式 (CF3CO)2O を持つ酸無水物です。トリフルオロアセチル化やアシル化に広く用いられる反応試薬で、CAS番号は407-25-0です。

性質と特徴

  • 酸無水物として強力なアシル化能を持つ
  • 水分と容易に反応して加水分解 → トリフルオロ酢酸を生成
  • 揮発性があり、乾燥・密閉保存が必須
  • 強い刺激性(ラクリメーター性)を有し、保護具着用が必要

用途

製薬・ライフサイエンス

  • ペプチド合成における脱保護
  • アミン・アルコールへのトリフルオロアセチル化
  • 検出したい物質の誘導体化

農薬・ファインケミカル

  • 含フッ素農薬中間体の合成
  • アシル化反応の促進

材料化学

  • 高機能ポリマーの前駆体合成
  • 表面改質や特殊コーティング

合成・製造

一般的にはトリフルオロ酢酸の脱水反応で得られます。工業的には乾燥・不活性雰囲気下での操作が必要です。
AGCはフッ素化学の知見を活かし、TFAAの安全なスケールアップと安定供給を実現しています。

安全性と取扱い

  • 強い腐食性・刺激性を持ち、吸入・皮膚接触に注意
  • 揮発性が高くドラフトチャンバーでの使用が推奨
  • 保管は冷暗所・乾燥雰囲気・密閉容器
  • 廃液は専門業者へ委託

法規制

  • 日本:化審法、労働安全衛生法
  • 欧州:REACH規制、CLP分類
  • 米国:TSCA

類似化合物との比較

化合物CAS特徴
無水トリフルオロ酢酸 (TFAA)407-25-0強力なアシル化・高反応性
トリフルオロ酢酸 (TFA)76-05-1強酸性
トリフルオロ酢酸エチル (ETFA)383-63-1エステル体、中間体用途

まとめ

無水トリフルオロ酢酸は、製薬・農薬・材料化学の合成に欠かせない高反応性試薬です。AGCはフッ素化学の専門性とスケールアップの経験を活かし、安全かつ効率的なプロセス開発をサポートします。